宅建過去問27年度 抵当権
抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1、賃借地上の建物が抵当権の目的となっているときは、一定の場合を除き、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶ。
2、抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。
3、抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する。
4、土地に抵当権が設定された後に抵当地に建物が築造されたときは、一定の場合を除き、抵当権者は土地とともに建物を競売することができるが、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができる。
回答「2」
民法380条
主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
上記条文により、2は誤りです。
過去問27年度 占有
占有に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 甲建物の所有者Aが、甲建物の隣家に居住し、甲建物の裏口を常に監視して第三者の侵入を制止していたとしても、甲建物に錠をかけてその鍵を所持しない限り、Aが甲建物を占有しているとはいえない。
- 乙土地の所有者の相続人Bが、乙土地上の建物に居住しているCに対して乙土地の明渡しを求めた場合、Cは、占有者が占有物について行使する権利は適法であるとの推定規定を根拠として、明渡しを拒否することができる。
- 丙土地の占有を代理しているDは、丙土地の占有が第三者に妨害された場合には、第三者に対して占有保持の訴えを提起することができる。
- 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者及びその特定承継人に対して当然に提起することができる。
回答「3」
【解説】
民法198条
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
例えば、Aがある土地を占有していたとします。
突然Bが現れて、Aが占有している土地に勝手に入ってきたらAは当然「勝手に入るな」と言いますよね?
これは、198条を根拠としているのです。
土地の所有者しか、妨害排除ができないとなると困るので、民法は占有者に対しても198条の権限を与えてくれているのです。
また、Dは占有を代理している人ですが、あなたがDだとしたら、「勝手に入るな」とBに文句を言いませんか? 代理人といえども妨害を排除する権利があります。
民法197条
占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。
※「占有保持の訴え」「占有保全の訴え」「占有回収の訴え」を総称して『占有の訴え』と呼びます。
過去問27年度 取得時効
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
- Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。
- Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
- 甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき賃貸借契約を締結して20年以上にわたって賃料を支払って継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。
回答「3」
【解説】
「Cが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した」となっているので、
A ⇒ C ⇒ Bの順に所有権が移っています。
Bから見てCは、第三者でしょうか?(登記は、第三者に対抗するために備えるのです。)
C ⇒ Bと所有権が移っているので、売買で例えるならC売主、B買主という構図となり、CとBは当事者の関係だということがわかっていただけると思います。
当事者同士なら登記の有無は関係ないので、「Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる」となり、正しいと判断できます。
上記で、仮に、Bの時効完成後に、Cが所有権移転登記を備えた場合は、
所有権の流れは、
・A ⇒ B
・A ⇒ C となります。
これ、Aが二重譲渡している関係となり、Bから見てCは第三者に当たります。
なのでこの場合は、「登記が必要」となるのです。
過去問27年度 賃貸借と使用貸借の比較
AB間で、Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲建物につき、
①賃貸借契約を締結した場合と、
②使用貸借契約を締結した場合
に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- Bが死亡した場合、①では契約は終了しないが、②では契約が終了する。
- Bは、①では、甲建物のAの負担に属する必要費を支出したときは、Aに対しその償還を請求することができるが、②では、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。
- AB間の契約は、①では諾成契約であり、②では要物契約である。
- AはBに対して、甲建物の瑕疵について、①では担保責任を負う場合があるが、②では担保責任を負わない。
回答「4」
【解説】
①賃貸借契約
必要費は借主は負担しない。
目的物に欠陥があっても、修補するのは貸主の負担となるので、瑕疵担保と言う概念はない。
修補義務になるので、欠陥の修補に関しては、貸主が瑕疵担保責任を負う事はない。
修補しても目的が達せられない等の場合については、貸主は瑕疵担保責任を負うので、記述は正しい。
②使用貸借契約
タダで物を借りているのに、「欠陥があるから直せ」と言われたら「嫌なら、借りるなよ。。。」って言いたくなりますよね。。
なので、使用貸借には原則、瑕疵担保責任はない。
但し、貸主が瑕疵の存在を知っていて借主に告げずにいた場合は、当然に瑕疵担保責任を負うので、記述の担保責任を負わないと言い切るのは、誤り。
宅建試験27年度 過去問(通謀虚偽表示)
権利関係のテキストが終わったので今日は過去問!
Aは、その所有する甲土地を譲渡する意思がないのに、Bと通謀して、Aを売主、Bを買主とする甲土地の仮装の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「善意」又は「悪意」とは、虚偽表示の事実についての善意又は悪意とする。
- 善意のCがBから甲土地を買い受けた場合、Cがいまだ登記を備えていなくても、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
- 善意のCが、Bとの間で、Bが甲土地上に建てた乙建物の賃貸借契約(貸主B、借主C)を締結した場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
- Bの債権者である善意のCが、甲土地を差し押さえた場合、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することができない。
- 甲土地がBから悪意のCへ、Cから善意のDへと譲渡された場合、AはAB間の売買契約の無効をDに主張することができない。
回答は「2」
【解説】
Cは、Bとの間で賃貸借契約を結んでいる借主。
問題は、売買契約の無効をCに対抗できるかどうか。
なんだか変な感じしません??
Cに賃貸借契約について、対抗するとかしないとかであれば、話は分かりますが、売買契約については、Cは一切関係がありません。
売買契約は、AB間での話で、Cは無関係。
つまり、Cは売買契約について、利害関係を持つ第三者ではないので、AはAB間の売買契約の無効をCに主張することはできる。
※AはCに賃貸借契約の無効の主張はできない。
不動産登記法③〜宅建試験勉強〜
不動産登記法の続きー!!これで最後ー😊
9.権利に関する登記の抹消
①登記の抹消
権利に関する登記の抹消は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾があるときに限り申請できる。
※なお、職権により抹消される場合もある。
※所有権の登記の抹消は、所有権の移転の登記がない場合に限り、所有権の登記名義人が単独で申請できる。
②仮登記の抹消
仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請できる。
また、仮登記の登記名義人の承諾がある場合は、当該仮登記の登記上の利害関係人単独で申請可能。
10.表示に関する登記
①申請義務
表示に関する登記は、原則として所有者が1ヶ月以内に申請しなければならない。
A:たとえば、新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1ヶ月以内に、表題登記を申請する必要がある。
B:また、建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の時から1ヶ月以内に、建物の滅失の登記を申請する必要がある。
C:さらには、増築の場合や土地の地目に変更が生じた場合も、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、当該変更があった日から1ヶ月以内に、変更の登記を申請する必要がある。
※権利に関する登記は、申請義務がない。申請を義務付けなくても、対抗力を具備するために、当事者が自主的に行うのが常だから。
②一般承継人による申請
表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合に、これれの者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継任は、当該表示に関する登記を申請できる。
③土地の分筆または合筆の登記
一筆の土地として登記されている土地を分けて、新築の土地として登記することを、分筆の登記という。また、数筆の土地として登記されている土地を合わせて、一筆の土地として登記することを合筆の登記という。
A:分筆または合筆の登記は、表題部所有者または所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
B:登記官は、一筆の土地の一部について地目の変更があったときは、所有者からの申請がなくても、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
C:合筆の登記の制限
①次の場合は、合筆の登記を申請することができない。
ア:相互に接続していない土地
イ:地番区域の異なる土地
ウ:地目の異なる土地
エ:表題部所有者または所有権の登記名義人が相互に異なる土地
オ:表題部所有者または所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地
カ:所有権の登記がない土地と、所有権の登記がある土地。
キ:所有権以外の権利が登記されている土地
※ただし、次の場合については合筆の登記を申請することができる。
1.承役地についてする地役権の登記
2、担保権であって、登記の目的、原因、日付等が同一のもの
②所有権の登記名義人が異なる土地を合わせて共有地とする合筆の登記はできない。
③所有権の登記がある土地の合筆の登記を申請する場合は、合筆前のいづれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供しなければならない。
ここでひとまず権利関係のテキスト終了ーーーーー!!!
「不動産登記法②」 ~宅建試験勉強~
不動産登記法の続きー!!
3.登記手続きの原則≪重要≫
①申請主義の原則
登記は原則として、当事者の申請または官公署の嘱託がなければ、することができない。
例外として、表示に関する登記は、登記官の職権により登記することもできる。
②権利に関する登記の共同申請主義の原則
権利に関する登記の申請は、原則として、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。※権利に関する登記をすることにより登記上直接に利益を受ける者を「登記権利者」という。これに対し、権利に関する登記をすることにより登記上直接に不利益を受ける登記名義人を「登記義務者」という。
※なお。表示に関する登記の申請は、単独申請である。また、権利に関する登記の申請であっても、以下の登記は、例外として単独申請可能。
≪権利に関する登記のうち、単独申請可能なもの≫
所有権保存の登記
相続または合併による権利の移転の登記
確定判決による登記
登記名義人の指名等の変更の登記
4.代理権の不消滅
登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡または本人である法人の合併による消滅等いによっては消滅しない。
5.登記の申請の方法
登記の申請は
①電子情報処理組織を使用する方法(オンライン申請)
②申請情報を記載した書面を提出する方法(書面申請・磁気ディスクを含む)
のいずれかにより、登記の申請に必要な情報を登記所に提供しなければならない。
申請情報は、原則として、登記の目的および登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。
ただし、同一の登記所の管轄区外にある二以上の不動産については、申請する登記の目的、登記原因、その日付が同一であるときなどの場合は、申請情報をまとめて提供することができる。
①登記識別情報
登記申請における登記名義人の本人確認の方法の一つ。
A:登記識別情報とは・・・登記識別情報とは、登記権利者および登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合などに、登記名義人自らが当該登記を申請していることを確認する為に用いられる符号その他の情報であって、登記名義人を識別することができるもの。
B:登記識別情報の通知・・・登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、速やかに、当該申請人に対して原則として、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。
C:登記識別情報の提供・・・登記権利者登記権利者および登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合には、申請人は、原則として、その申請情報と併せて登記義務者の登記識別情報を提供しなければならない。
②登記原因証明情報の提供
権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、原則として、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
※登記原因証明情報
たとえば、売買による所有権の移転の登記の申請であれば、当該売買契約の内容に関する情報。
③一般承継人による申請
登記権利者、登記義務者または登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合に、これらの者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる。
6.所有権保存の登記≪重要≫
①所有権の保存の登記とは
所有権の登記のされていない不動産に初めてする権利に関する登記のこと。
②申請者
A.表題部所有者(所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者)
B.表題部所有者の相続人その他の一般承継人(相続人が複数あるときは、共同相続人の1人は、保存行為として全員のために申請できる。ただし、共同相続人の1人は、自己の持分についてのみ保存行為をすることはできない。)
C.所有権を有することが確定判決によって確認された者
D.土地収用法による収用によって所有権を取得した者
E.区分建物の場合で、表題部所有者から所有権を取得した者(区分建物以外の建物の場合は、買主が、直接自己名義の所有権の保存の登記を申請することはできない。売主名義の所有権の保存の登記をしたうえでら所有権の移転の登記を申請する。
7.付記登記
①付記登記とは
付記登記とは、権利に関する登記のうち、既に登記された権利に関する登記についてする登記で、主登記を変更または更生するもの。
A.主登記との同一性を保持しようとする場合(登記名義人の表示変更の登記)
B.主登記と同一の順位を有することを明らかにする場合(買い戻し特約の登記)
②付記登記の順位
付記登記の順位は、主登記の順位による。
同一の主登記に関する付記登記の順位は、その前後による。
③権利の変更の登記または更生の登記
権利の変更の登記または更生の登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合、および当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
※変更の登記とは、登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記。更生の登記とは、登記事項に錯誤または遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記をいう。
8.仮登記≪重要≫
①仮登記とは
仮登記とは、本登記をするのに必要な手続き上の要件または実体法上の要件が完備しない場合に、将来その要件が備わったときになすべき本登記の登記簿上の順位を確保するために、あらかじめなされる予備的な登記。
※仮登記には、本登記の順位を保全する効力のみがあり、対抗力はない。
②仮登記ができる場合
A.登記所に対し提供しなければならない一定の情報を提供することができないとき
※登記識別情報を提供することができない場合など
B.将来、権利変動が生じる予定があり、その請求権を保全するとき
※売買の予約や、停止条件付き売買契約を締結した場合
③仮登記の申請方法
A.原則
仮登記の登記権利者と登記義務者の共同申請による。
B.例外
仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
※仮登記の登記権利者及び登記義務者が共同して仮登記を申請する場合であっても、登記識別情報を提供する必要がない。
④仮登記に基づく本登記
所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、第三者の承諾があるときに限って申請することができる。
※所有権以外の権利に関する仮登記に基づいて本登記を申請する場合は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾は不要。
⑤仮登記に基づく本登記の順位
仮登記に基づいて本登記をした場合は、本登記の順位は、仮登記の順位による。