民法「根抵当権」 ~宅建試験勉強~
根抵当権
根抵当権とは、一定の範囲内の不特定の債権(継続的取引により生ずる債権等)を一定の限度額(極度額と呼ぶ)の範囲で担保する抵当権のこと。
※債権者が債務者に対して、将来有することとなるあらゆる種類の債権を担保する目的で設定することはできない。(包括根抵当の禁止)
上記の場合、Aの売掛金債権を担保するのが普通の抵当権だったら、Bの③の返済により抵当権は消滅してしまう(付従性)ので、取引を継続しようとするなら、返済の度にAB間で新たに抵当権を設定しなければならない。また、Aの一番抵当権が消滅すると、Cの二番抵当権が一番に上昇し、Aの売掛金債権を順位一番で担保することが事実上不可能になってしまう。
そこで、このような場合に便利なのが「根抵当権」
極度額
極度額とは、根抵当権によって担保されるべき債権の限度額のこと。
付従性の否定
根抵当権はわ普通の抵当権にみられるような付従性がない。つまり、元本の確定前に根抵当権の債権が消滅しても、その根抵当権は消滅しない。
※元本確定後の根抵当権には、付従性がある。
随伴性の否定
根抵当権は、普通の抵当権にみられるような随伴性がない。つまり、元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権につき根抵当権を行使できない。
※元本確定後の根抵当権には随伴性がある。
根抵当権者は、確定した元本並びにその他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使できる。
※極度額の範囲内であれば、利息なども2年分に限らず、無制限に担保される。しかし、極度額を超える分はまったく担保されない。
元本の確定
元本の確定とは、根抵当権によって担保される債権が特定すること。
元本が確定すると、その後に生じる債権は、当然根抵当権により担保されなくなる。
※利息等については、なお極度額まで担保される。
確定期日
【確定期日の定めがある場合】
根抵当権者と根抵当権設定者は、元本が確定する期日を、あらかじめ定めることができる。
ただし、その期日は、定めた日から5年以内でなければならない。
元本が確定する期日を定めた場合、元本はその期日に確定する。
【確定期日の定めがない場合】
元本の確定期日を定めなかった場合
1.根抵当権設定者は、根抵当権の設定時から3年を経過すれば、元本の確定を請求でき、請求から2週間を経過すると元本が確定する
2.根抵当権者は、いつでも元本の確定を請求できる。この場合、その請求時に元本が確定する。
根抵当権の変更
被担保債権の範囲及び債務者の変更
元本の確定前は、被担保債権の範囲を変更できる。また、債務者の変更も可能。この変更をするのに、後順位抵当権者、その他の第三者の承諾は不要。
極度額の変更
極度額は、その変更をすることができるが、利害関係を有する者の承諾が必要。
※元本の確定後でも極度額は変更できる。
確定期日の変更
確定期日を定めた場合、その期日は変更することができる。ただし、その期日は、変更した日から5年以内でなければならない。
この変更をするのに、後順位抵当権者その他の第三者の承諾は不要。
極度額の減額請求
元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
※根抵当権者に対する一方的な意思表示により効力を生じる。