民法「債務不履行の続き・同時履行の抗弁権」 ~宅建試験勉強~
債務不履行の続き・同時履行の抗弁権について(*^_^*)
同時履行の抗弁権とは
双方契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
※たとえば、売買契約の売主は、買主が代金の支払いについて履行を提供するまでは、目的物の引き渡しを拒むことができる。逆に、買主も、売主が引き渡しについて履行を提供するまでは代金の支払いを拒むことができる。
要件
以下の要件を満たせば、同時履行の抗弁権が成立する。
①双方契約から生じる両債務が存在する
②相手方の債務が履行期にある
③相手方が、自己の債務の履行の提供をしないで、履行の請求をする
効果
同時履行の抗弁権を主張するときは、履行期を過ぎても、履行遅滞にならない。
損害賠償
損害賠償の範囲
債務不履行による損害賠償責任は原則として金銭賠償だが、債権者はどの程度まで損害賠償を請求できるのか?
原則
通常生じる範囲の損害
たとえば、住宅の引き渡しが遅滞したことによって、買主がやむを得ずアパートを賃借した場合の賃借料
例外
特別の事情によって生じた損害は、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときに限って、損害賠償をすることができる。
たとえば、転売目的の不動産売買で、売主の引き渡しが遅滞したことにより、転売価格が下落してしまった場合の下落分。
損害賠償額の予定
損害賠償額の予定とは
損害賠償額の予定とは、債務不履行があった場合に備えて、当事者があらかじめ一定の賠償額の支払いを合意しておくことをいう。
損害賠償請求をするには、原則として、債権者が損害の発生や損害額を証明しなければならず、この煩わしさを解消することを目的としている。
方法
損害賠償額の予定は、損害発生前であれば、契約成立後でもok
また、金銭以外のものですることもできる。
効果
1.債権者は、債務不履行の事実さえ証明すれば予定額を請求できる。
2.債務者は、実損害がないことを証明しても責任を免れない。
3.当事者及び裁判所は、その額を増減することができない。
※なお、賠償額の予定が暴利行為として公序良俗違反となる場合は、裁判所は減額をすることができる。
違約金
違約金は損害賠償の予定と推定される。
過失相殺
債務不履行に関し債権者にも過失があるときは、裁判所は、損害賠償の責任とその額を定めるにあたって、債権者の過失を考慮しなければならない。なお、損害賠償額の予定があっても、過失相殺の規定を適用できる。
金銭債務の特則
売買代金の支払債務のように、金銭の支払いを目的とする債務を金銭債務という。金銭債務の債務不履行は、以下の点において通常と異なる。
無過失責任
金銭債務の場合、債務者は故意・過失がなくても債務不履行責任を免れない。(不可抗力をもって抗弁とすることができない。)
履行遅滞のみ
金銭債務の場合、履行不能は認められず、常に履行遅滞となる。
損害賠償額
損害賠償額は、法定利率(民事では年5分)によるのを原則とし、これより高い約定利率の定めがあるときには、その約定利率による。
立証責任
債権者は、損害賠請求をするにあたり、損害の発生及び損害額を証明する必要がない。