民法「賃貸借」 ~宅建試験勉強~
今日は賃貸借について(^_^)/~
賃貸借とは、当時者の一方(賃貸人)が相手方(賃借人)に対して目的物を使用収益させることを約し、賃借人がこれに対して賃料を支払うことを約することにより成立する、諾成契約。(不動産屋でお部屋を借りたりね。。)
賃貸借の存続期間
賃貸借の存続期間は、20年を超えることができず、これを超える期間を定めたときは、20年に短縮される。
この期間は更新できるが、その期間も20年が限度である。
なお、最短期間の定めはない。
対抗要件
不動産の賃貸借の登記をすると、賃借人は、その後その不動産について物権を取得した第三者に対しても、賃借権を主張できる。
※対抗力のある賃借権が設定されている不動産を、賃貸人が譲渡する場合、特段の事情がない限り、賃借人の承諾を得る必要はない。
しかし、譲受人は、賃貸人としての地位を賃借人に主張する(たと、賃料の請求をする)には、登記を備えなければならない。
AがBに土地を賃貸し、Bが賃借権の登記を備えた場合、その後、Aがその土地をCに売買(Bの承諾は不要)しても、BはCな賃借権を対抗できる。(BC間に賃貸借契約が移行する)
なお、CがBに対して賃料を請求するためには、所有権の移転の登記を備える必要がある。
なお、賃借権の登記には、賃貸人の協力が必要だが、賃貸人には、この登記に協力する義務はない。
賃借物の修繕
賃貸人は、賃借物の使用・収益に必要な修繕義務を負う(特約があれば別)。
賃借人は、賃貸人が行う保存行為買った修繕行為)を拒めない。
必要費と有益費
賃借人が、目的物の価値を維持し、又は増加させる費用を支出した時に、その費用を賃貸人から返還させようとする制度。
賃借人の行為によって賃貸人は何らかの利益を受けているから。
①必要費
賃借人は、修繕費など賃貸人が負担しなければならない必要を代わりに支出したときは、直ちに、支出額の償還を賃貸人に請求できる。
②有益費
賃借人は、改良費などの有益費を支出したときは、賃貸借終了時に、賃貸人の選択により支出額または現存増加費のいずれかの償還を、賃貸人に請求できる。
③留置権
1.賃借人は、必要費・有益費の償還を受けるまで、留置権に基づき目的物の返還を拒める。
しかし、それによる利益(賃料相当額)は、返還する必要がある。
2.また、留置権に基づき目的物の返還を拒否している場合に、さらに必要費を支出したときは、その必要費のためにも、留置権を行使できる。
3.しかし、賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が必要費を支出しても、留置権を行使できない。
賃借権の譲渡・転貸
1.無断譲渡・転貸の禁止
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
賃借人が、賃貸人に無断で、第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、賃貸借契約の解除をすることができる。
ただし、無断で行っても、転貸借が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は解除できない。
承諾を得た賃貸借の譲渡
賃貸人の承諾を得て、賃借権の譲渡が行われると、賃貸人は契約関係から離脱し、賃貸人と譲受人との間に賃貸借契約が存続することになる。
AがBに建物を賃貸した後、BがAの承諾を得て、賃借権をCに譲渡すると、Bは契約関係から離脱し(AB間の契約は終了)、AC間に賃貸借契約が移行する。
承諾を得た転貸
①賃貸人の承諾を得て賃借物を転貸(また貸し)した場合、当初の賃貸借契約は存続し、さらに、転貸人と転借人との間に賃貸借(転貸借)契約が成立する。
②そして転借人は、賃貸人に対しても直接に義務を負う。賃貸人は転借人にも賃料を請求できる。
※この場合、最初の賃貸借契約で定めされた賃料と、転貸借契約で定められた賃料を比較し、額が少ない方の分しか請求できない。
AがBに建物を賃貸した後、BがAの承諾を得てその建物をCに転貸した場合、AB間の契約は存続し、さらにBC間に転貸借契約が成立する。
AC間には、契約が存在しないが、Aを保護するため、民法は、Cが直接、Aに対しても義務を負う(AはCに対しても賃料請求できる)ことにした。
③賃借人の債務不履行により賃貸借が解除されたときは、転貸借は、賃借人の債務不履行により終了し、転借人は賃貸人に対抗することができない。なお、賃貸人が賃貸借を解除するのに、転借人に支払いの機会を与える必要はない。
敷金関係
敷金とは、不動産の賃貸借契約に際して、賃借人が借賃その他の賃貸借関係により生じた債務を担保するために、あらかじめ賃貸人に交付する金銭。
※賃借人からは、延滞賃料分を敷金から充当する旨を賃貸人に主張できない。しかし賃貸人が、自ら敷金で充当することはできる。
返還請求権の発生時期 重要!
敷金返還請求権は、目的物を明け渡した時に発生する。
よって、目的物を明け渡した後でなければ、返還請求は認められない。
つまり、敷金の返還と、目的物の明け渡しは、同時履行の関係に立たない。
※敷金返還請求権は、目的物の明け渡しの時に発生するが、明け渡し前に、敷金返還請求権に質権を設定することができる。
質権者は充当後の残額にのみ質権を行使できる。
※目的物の明け渡し前に、敷金返還請求権が差し押さえられても、賃貸人は、未払い賃料について敷金から充当することができる。
当事者の変更と敷金関係
当事者(賃貸人または賃借人)が変わった場合、従前の敷金関係はどのようになるか。
①賃貸人の変更
賃貸借契約中に、賃貸人が変更したとき(目的物の譲渡が行われたとき)は、敷金から延滞賃料等を差し引いた残額が、新賃貸人に承継される。
Aが建物をBに賃貸し、Bから敷金を受領した後、Aがその建物をCに売買した場合、敷金からBの延滞賃料を差し引いた残額が、Cに引き継がれる。よってBはCから敷金の返還を受けることになる。
※賃貸借「終了後」に、賃貸人が変更したとき(目的物の譲渡が行われたとき)は、敷金に関する権利義務は、新賃貸人(新所有者)に当然に承継されるものではなく、また旧賃貸人(旧所有者)と新賃貸人(新所有者)との間の特別の合意のみでは譲渡することはできない。
②賃借人の変更
賃貸借契約中に、賃借人が変更したとき(賃借権の譲渡が行われたとき)は、特段の事情のない限り、敷金関係は新賃借人に承継されない。
AがBに建物を賃貸し、Bから敷金を受領した後、BがAの承諾を得て、賃借権をCに譲渡しても、敷金関係はCに引き継がれない。よって、Bは、Aからの敷金の返還を受けることになる。
賃貸借の終了
解約申入れ
期間の定めのない賃貸借の場合、各当事者は、いつでも解除の申入れをすることができ、土地賃貸借は解約の申入れの日から1年経過すると、建物賃貸借は解約の申入れから3ヶ月を経過すると終了する。
賃貸借の解除
賃貸借の解除は、将来に向かってのみ、効力を生ずる。
継続的契約の解除に遡及効を認めると、当事者の関係を複雑にするので、遡及効を制限した。
※賃借人が死亡しても、賃貸借契約は終了せず、賃借権は相続される。
※賃借人が賃貸人との間の信頼関係を破壊し、賃貸借契約の継続を著しく困難にした場合は、賃貸人は、催告をしないで、契約を解除することができる。