民法「相続」 ～宅建試験勉強～

「相続」についてのお勉強！結構ヘビーな所です(+_+)

法定相続

①相続とは

相続とは、被相続人の死亡により、被相続人に属する一切の財産上の権利義務が相続人に包括的に承継されること。ただし、被相続人の一身に専属する権利（免許とか）は承継されない。

②相続人及び相続分

 

1.相続人の資格

自然人は、すべて相続人になれる。
胎児も相続資格を有する。


2.相続資格の喪失

 

①相続欠格

一定の重要な反道徳的行為を行うと、当然に、相続資格を失う。
※たとえば、詐欺または強迫により、被相続人に相続に関する遺言をさせ、又はこれを妨げた者は、相続権を失う。また、相続に関する遺言書を偽造・変造、破棄、隠匿した者も、相続権を失う。

②廃除

遺留分を有する推定相続人が、被相続人を虐待し、被相続人に重大な侮辱を加え、又は著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求できる。
※遺言による廃除も可能。

③相続の放棄

相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

 

3.相続人の順位及び相続分

 

①配偶者

配偶者は、常に、相続人となる。
次の②で相続人となるべき者があるときは、その者と同順位となる。
※内縁の妻、夫には相続資格はない。

②相続人の順位

ア 第一順位
第一順位の相続人は子である。

イ 第二順位
第二順位及び相続人は、直系尊属（父母、祖父母など）である。
※第一順位の相続人がいないときに相続人となる。
※直系尊属が数人いるときは、親等の近い者（世代が近い者）が、相続人となる。

ウ 第三者順位

第三者順位の相続人は、兄弟姉妹である。
※第一順位及び第二順位の相続人がいないときに、相続人となる。

③相続分

被相続人は、遺言で相続分を指定できるが、この指定がないときは、以下の法定相続分による相続となる。

※子、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ複数の場合、原則として、等しく分ける。ただし、非嫡出子や父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹は他の2分の1となる。

 

③相続分の具体例

 

①配偶者と子が相続人の場合

 

【通常の例】

【非嫡出子の例】

婚姻している男女間に出生した子を嫡出子ら婚姻関係のない男女間に出生した子を非嫡出子と呼び、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1となる。

嫡出子をBを2.非嫡出子Cを1と考える

※養子は、養子縁組の日から、嫡出子たる身分を取得する。

 

【代襲相続の例】

 

相続人となりうる者が、死亡、相続欠格、廃除により相続権を失った場合に、その者の子が、代わって相続人となる。これを代襲相続という。
なお、相続人となりうる者が相続の放棄をした場合は、代襲相続は発生しない。

※AとCが同時に死亡した場合も、EはCを代襲してAを相続することができる。
※Cが相続の放棄をしたときは、代襲相続とならない。
※Eも死亡している場合、Eの子は、Eを代襲し、さらにCを代襲し、Aを相続することができる（再代襲）
※代襲相続人が数人いるときは、被代襲者の相続分を均分する。

 

 

 

 

 

②配偶者と直系尊属が相続人の場合

甲が死亡した場合、配偶者C、直系尊属A・Bが相続人となり、各自の相続分は以下の通りである。

配偶者C＝3分の2

直系尊属A＝6分の1

直系尊属B＝6分の1

 

 

③配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

 

 

 

甲が死亡した場合、配偶者C、兄弟姉妹A・Bが相続人となり、各自の相続分は以下の通りである。

配偶者C＝4分の3

兄弟姉妹A＝8分の1

兄弟姉妹B＝8分の1

【父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の例】

 

父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となる。

 

Aが死亡した場合（甲乙は既に死亡している）、配偶者のDと兄弟姉妹のB、Cが相続人となる。ただし、CはAとは父母の一方のみを同じくするので、Bの2分の1の相続分となる。
すると、各自の相続分は
Dイコール4分の3
B＝12分の2
C＝12分の1
となる。

 

 

【代襲相続の例】

相続人となりうる兄弟姉妹が、死亡、相続欠格、廃除により相続権を失った場合に、その者の子が、代わって相続人となる。

 

 

兄弟姉妹にも代襲相続が認められるが、この場合と異なり、兄弟姉妹の子（甥、姪）までに限られる。

 

 

 

 

※Fは、Eを代襲して、Aを相続することができる。

しかし、Fも死亡していたとしても、GはAを相続することができない。

 

 

 

④相続の放棄と承認

 

 

①承認・放棄の期間

 

 

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、単純承認もしくは限定承認または相続放棄をしなければならない。

 

 

※相続開始前の承認・放棄は認められない。

※一度承認・放棄をすると、この期間内でも撤回することができない。

※詐欺または強迫による承認・放棄は取り消せるが、その旨を家庭裁判所に申述する必要がある。

 

 

②単純承認

 

 

相続の効果を全面的に受諾する意思表示。

よって、借金も無制限に引き継ぐこととなる。

 

 

※相続財産を処分・隠匿すると、単純承認したものとみなされる。

※何もせずに、相続開始を知った時から3カ月を経過すると、単純承認したものとみなされる。

 

 

 

③限定承認 重要

 

 

相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務を弁済すべきことを留保して、相続を承認すること。

 

 

※相続人が数人いるときは、全員が共同してのみ限度承認することができる。

※家庭裁判所に申述する必要がある。

 

 

 

 ④相続の放棄

 

相続の効果を全面的に拒否する意思表示。

※家庭裁判所に申述する必要がある。

※初めから相続人でなかったことになる。

 

 

 

⑤遺産分割

 

①遺産分割とは

 

相続人が数人いるときに、相続財産は、相続人全員の共有に属する。

これを各相続人に分配するのが遺産分割。

 

 

※相続人が数人いる場合に、相続財産中に金銭債権（可分債権）があるときは、その債権は法律上当然に分割され、各共同相続人が、相続分に応じてこれを承継する。

※相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできない。

※遺産である不動産を占有している相続人に対して、他の相続人は、当然に明け渡しを求めることはできない。

 

 

②分割の実行

 

遺産分割について、共同相続人の協議が調わないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。

 

 

 

 

③遺言による分割の指定または禁止

 

 

被相続人は、遺言で分割の方法を定め、またはこれを定めることを第三者に委託することができる。また、遺言で、5年を超えない期間内で分割を禁止することもできる。

 

※特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、特段の事情がない限り、遺贈ではなく、遺産分割の方法の指定である。

 

 

 

 

④分割の遡及効

 

 

遺産の分割は、相続開始のときに遡ってそ効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することができない。

 

 

 

 

⑤相続開始後の被認知者の分割請求

 

相続の開始後、認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合、他の共同相続人がすでに分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払いの請求権を有する。

 

 

 

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