過去問27年度 取得時効
A所有の甲土地を占有しているBによる権利の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Bが父から甲土地についての賃借権を相続により承継して賃料を払い続けている場合であっても、相続から20年間甲土地を占有したときは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができる。
- Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。
- Aから甲土地を買い受けたCが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した場合、Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる。
- 甲土地が農地である場合、BがAと甲土地につき賃貸借契約を締結して20年以上にわたって賃料を支払って継続的に耕作していても、農地法の許可がなければ、Bは、時効によって甲土地の賃借権を取得することはできない。
回答「3」
【解説】
「Cが所有権の移転登記を備えた後に、Bについて甲土地所有権の取得時効が完成した」となっているので、
A ⇒ C ⇒ Bの順に所有権が移っています。
Bから見てCは、第三者でしょうか?(登記は、第三者に対抗するために備えるのです。)
C ⇒ Bと所有権が移っているので、売買で例えるならC売主、B買主という構図となり、CとBは当事者の関係だということがわかっていただけると思います。
当事者同士なら登記の有無は関係ないので、「Bは、Cに対し、登記がなくても甲土地の所有者であることを主張することができる」となり、正しいと判断できます。
上記で、仮に、Bの時効完成後に、Cが所有権移転登記を備えた場合は、
所有権の流れは、
・A ⇒ B
・A ⇒ C となります。
これ、Aが二重譲渡している関係となり、Bから見てCは第三者に当たります。
なのでこの場合は、「登記が必要」となるのです。
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