「不動産登記法②」 ~宅建試験勉強~
不動産登記法の続きー!!
3.登記手続きの原則≪重要≫
①申請主義の原則
登記は原則として、当事者の申請または官公署の嘱託がなければ、することができない。
例外として、表示に関する登記は、登記官の職権により登記することもできる。
②権利に関する登記の共同申請主義の原則
権利に関する登記の申請は、原則として、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。※権利に関する登記をすることにより登記上直接に利益を受ける者を「登記権利者」という。これに対し、権利に関する登記をすることにより登記上直接に不利益を受ける登記名義人を「登記義務者」という。
※なお。表示に関する登記の申請は、単独申請である。また、権利に関する登記の申請であっても、以下の登記は、例外として単独申請可能。
≪権利に関する登記のうち、単独申請可能なもの≫
所有権保存の登記
相続または合併による権利の移転の登記
確定判決による登記
登記名義人の指名等の変更の登記
4.代理権の不消滅
登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡または本人である法人の合併による消滅等いによっては消滅しない。
5.登記の申請の方法
登記の申請は
①電子情報処理組織を使用する方法(オンライン申請)
②申請情報を記載した書面を提出する方法(書面申請・磁気ディスクを含む)
のいずれかにより、登記の申請に必要な情報を登記所に提供しなければならない。
申請情報は、原則として、登記の目的および登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。
ただし、同一の登記所の管轄区外にある二以上の不動産については、申請する登記の目的、登記原因、その日付が同一であるときなどの場合は、申請情報をまとめて提供することができる。
①登記識別情報
登記申請における登記名義人の本人確認の方法の一つ。
A:登記識別情報とは・・・登記識別情報とは、登記権利者および登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合などに、登記名義人自らが当該登記を申請していることを確認する為に用いられる符号その他の情報であって、登記名義人を識別することができるもの。
B:登記識別情報の通知・・・登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、速やかに、当該申請人に対して原則として、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。
C:登記識別情報の提供・・・登記権利者登記権利者および登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合には、申請人は、原則として、その申請情報と併せて登記義務者の登記識別情報を提供しなければならない。
②登記原因証明情報の提供
権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、原則として、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
※登記原因証明情報
たとえば、売買による所有権の移転の登記の申請であれば、当該売買契約の内容に関する情報。
③一般承継人による申請
登記権利者、登記義務者または登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合に、これらの者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる。
6.所有権保存の登記≪重要≫
①所有権の保存の登記とは
所有権の登記のされていない不動産に初めてする権利に関する登記のこと。
②申請者
A.表題部所有者(所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者)
B.表題部所有者の相続人その他の一般承継人(相続人が複数あるときは、共同相続人の1人は、保存行為として全員のために申請できる。ただし、共同相続人の1人は、自己の持分についてのみ保存行為をすることはできない。)
C.所有権を有することが確定判決によって確認された者
D.土地収用法による収用によって所有権を取得した者
E.区分建物の場合で、表題部所有者から所有権を取得した者(区分建物以外の建物の場合は、買主が、直接自己名義の所有権の保存の登記を申請することはできない。売主名義の所有権の保存の登記をしたうえでら所有権の移転の登記を申請する。
7.付記登記
①付記登記とは
付記登記とは、権利に関する登記のうち、既に登記された権利に関する登記についてする登記で、主登記を変更または更生するもの。
A.主登記との同一性を保持しようとする場合(登記名義人の表示変更の登記)
B.主登記と同一の順位を有することを明らかにする場合(買い戻し特約の登記)
②付記登記の順位
付記登記の順位は、主登記の順位による。
同一の主登記に関する付記登記の順位は、その前後による。
③権利の変更の登記または更生の登記
権利の変更の登記または更生の登記は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合、および当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
※変更の登記とは、登記事項に変更があった場合に当該登記事項を変更する登記。更生の登記とは、登記事項に錯誤または遺漏があった場合に当該登記事項を訂正する登記をいう。
8.仮登記≪重要≫
①仮登記とは
仮登記とは、本登記をするのに必要な手続き上の要件または実体法上の要件が完備しない場合に、将来その要件が備わったときになすべき本登記の登記簿上の順位を確保するために、あらかじめなされる予備的な登記。
※仮登記には、本登記の順位を保全する効力のみがあり、対抗力はない。
②仮登記ができる場合
A.登記所に対し提供しなければならない一定の情報を提供することができないとき
※登記識別情報を提供することができない場合など
B.将来、権利変動が生じる予定があり、その請求権を保全するとき
※売買の予約や、停止条件付き売買契約を締結した場合
③仮登記の申請方法
A.原則
仮登記の登記権利者と登記義務者の共同申請による。
B.例外
仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
※仮登記の登記権利者及び登記義務者が共同して仮登記を申請する場合であっても、登記識別情報を提供する必要がない。
④仮登記に基づく本登記
所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、第三者の承諾があるときに限って申請することができる。
※所有権以外の権利に関する仮登記に基づいて本登記を申請する場合は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾は不要。
⑤仮登記に基づく本登記の順位
仮登記に基づいて本登記をした場合は、本登記の順位は、仮登記の順位による。