民法「相殺」 ~宅建試験勉強~
今日は相殺(そうさい)について!(*^_^*)
相殺とは、当時者が相互に同種の債権をもつ場合に、当時者の一方からの意思表示によって、その債権を対当額において消滅させる制度。
相殺の意思表示をする者が有する債権を自働債権といい、意思表示を受ける者が有する債権を受働債権という。
Aが相殺の意思表示をしたときは代金債権を自働債権と呼び、Bが相殺の意思表示をしたときは、賃金債権を自働債権と呼ぶ。
相殺の要件
相殺は、次の全ての要件が揃ったときにできる。
この状態を相殺適状という。
①双方の債権が同種の目的を有すること(たとえば両債権が金銭債権)
双方の債権が同種の目的を有すれば、債権額、履行期、履行地が異なっていてもok
②自働債権の弁済期が到来していること
双方の債権の弁済期が到来すれば相殺できるのは当然だが、自働債権の弁済期が到来すれば、受働債権については期限の利益を放棄できるので、その弁済期が未到来であっても相殺できる。
上図の場合、Aは9/1~相殺ができるが、Bは10/1にならないと相殺できない。
③両債権が存在すること
双方の債権が有効に存在しなければ相殺できないのが原則。ただし、自働債権が時効によって消滅しても、消滅前に相殺適状に達していたのであれば、消滅した債権を自働債権として相殺することができる。相殺適状に達すれば、当時者は相殺の意思表示がなくても決済されたものと考えるのが通常だから。
相殺の禁止
次の場合、たとえ相殺適状にあっても、相殺することができない。
①当時者が相殺禁止の特約をしている場合
当時者が反対の意思表示をしているときは、相殺できないが、この特約は、善意の第三者に対抗することができない。
②不法行為によって生じた損害賠償債権を受働債権とする相殺
被害者を保護するため、加害者Aから相殺することはできないが、被害者Bからの相殺は自由。
③債権が第三者の差押えを受けた場合
Bの代金債権をCが差し押さえた。
①Bは相殺できない。
②Aは、賃金債権の取得がCの差押えより早ければ相殺をCに対抗でき、遅ければ相殺をCに対抗できない。
※①は、債権の差し押さえがあると、Bは、債権を処分する能力が失われると考える。
※②は、Aは、賃金債権を取得した時点で相殺できると期待できる場合のみ相殺できると考える。
相殺の方法と効果
1.方法
相殺は、当時者の一方から相手方に対する意思表示によって行われるが、この意思表示には、条件や期限をつけることができない。
2.効果
相殺によって、双方の債権は、相殺適状を生じたときにさかのぼってその対当額において消滅する。
たとえば、両債権の弁済期が10/10である場合に、10/20に相殺が行われると、両債権は10/10に消滅したことになる。
この時点から決済されたと考えるのが普通だから。